1アマ受験問題集と参考書

1アマ受験体験記
参考書

1アマ受験の問題集と参考書

試験勉強をするとき、学習のフェーズは大きく分けて次の3つになります。

  1. 教科書・テキストを読んで理解する。
  2. 必要な内容をまとめ、記憶する=インプット。
  3. 問題集の問題を解いて(アウトプット)結果を確認する。

また、2.の記憶のフェーズは、試験直前まで繰り返し効率良く学習するため、最近のスマフォなどを利用した強力なツールを使用します。 それでは、私が、それぞれにおいて使用した教材について説明いたします。 なお、以下の後半に掲げる参考書は1アマの試験には必要ありません。 たまたま、私が持っていて、理解を深めるためにごくたまに参考にした程度です。

インプット用問題集

はじめに

よく、いきなり過去問題集を解きにかかり無駄な時間を費やす方がいます。 過去の問題集は習得した知識を確認・修正するもので、新しい知識を学習するには向いていません。 たいていの場合、知識がないかまったく不十分なので正答はほとんどできず、答えだけ見て無理矢理次は正答できるように覚えようとする方がいますが、その場合、大変苦痛を伴いますし、また少し問題のパターンを変えられてしまうと答えられなくなります。

1アマの試験は理系の試験ですので、計算問題があります。 無線工学は学習方法を工夫しなければなりません。 合格の域に達するまで、多くの問題をこなし、その中から何某か自らの解釈方法を見つけ出し正答できようになるまでには、自然科学で言えば多数の実験結果から、法則を導く、帰納法に近いやり方で非常に非効率なやり方です。 先に理屈(法則)を学べば、演繹により正答を導き出すことができます。 数学に代表される理系の問題は、パターンや式の変形をを覚える一種の記憶力なのですが、個々の具体的な事象を覚えるのではなく、解く方法を覚えなければなりません。 それにはある程度、まず解く方法の理屈を理解することが早道です。

残念にながら、1アマの試験用で書店などで市販されている自習用向きの書籍はあまりありません。 このため比較的解説の多い問題集を使用することになります。

法規の問題でも、問題を多数解くより、まず法規の条文を一通り読んでその趣意を理解し、条文の中のキーワードを覚えることになります。 同じキーワードを覚えるにしても文章の流れの中で覚える方が遙かに覚えやすく内容も理解できます。 ばらばらな英単語を覚えるより、筋書きのある例文を覚えた方が効率がよいのと同じです。

しかし、法規に関しても電波法令集をそのままテキストにするのは、法律独特の言い回しや構成がわかりずらく効率よく学習するのに適していません。 私は、第1級ハム 国家試験問題集の巻末に付いていた法令集のまとめを利用しました。 これは非常に良くできていて、主要な部分はこれで事足ります。

参考書を除き、以下に掲げた順にテキスト・問題集をこなすことをお勧めいたします。 2アマ程度の実力があれば、2ヶ月あれば十分だと思います。 ただし、並行して暗記トレーニングが必要です。

やさしく学ぶ 第一級アマチュア無線技士試験

問題集ですが、教科書的な解説が多くあります。

基本となる学習項目解説が丁寧に書かれています。
ただし、計算問題の解き方はかなり非効率な方法で解説されていますので計算問題に関しては、次に示す参考書の方が良いでしょう。
また内容的に、他の問題集や直近の試験の範囲をみると、私の感覚では70%くらいしか、試験の範囲をカバーできていません。 この本一冊で試験に臨むのにはかなりのリスクを伴います。 しかし、知識を整理するためにはあった方がいいです。 特に初めて1アマの学習をする方は必要だと思います。 また、私は、この本からいくつか暗記項目を作りました。

従いまして、ある程度、1アマの試験の項目について知見のある方、他に1アマ用の教科書やテキストをお持ちの方は必要ないでしょう。

計算問題突破塾

無線工学の計算問題の解き方に特化した問題集と解説です。

試験では無線工学の150点満点中約1/3を占める50点が計算問題として出題されます。 合格ラインは105点です。 従いまして計算問題はマスターしなければ合格は厳しいでしょう。 また、電卓や計算尺などは持ち込めず、すべて筆算で計算しなければならないため、計算を間違わないよう工夫が必要です。 この書籍は、計算問題を効率的に解くことに重点を置いています。 計算問題に関する解説はAの書籍より詳しいです。

問題ごとにヒントと使う公式、一般的な解き方と簡易的な解き方が示されています。 計算問題はだいたいこの問題集で制覇できると思います。

ただ、効率的に解くといってもなんでも概算する傾向にあり、約分や概算しなければ綺麗に端数が消去できて、すっきりした解になるのに概算したため余計に計算の桁数が増え、計算が複雑になり、答えが近似値しか求められていない回答例がいくつかあります。 ※綺麗に端数がなくなったときは、正解のサインでもあります。 効率的な解き方の基本的な考え方は1アマ受験における一般的なアドバイスの記事で紹介することにします。

問題集

合格精選450題試験問題集

本のタイトルどおり、典型的な問題を多数収録されています。

一通りのアウトプットを網羅するには最適な問題集です。 この本を何回か繰り返し学習すると、とりあえずの合格圏内に入りそうです。 私はこの本を4回学習しました。 ただし、若干内容が古いので、合格をより確実にするためには、次の問題集こなすことをお勧めいたします。

各問題には正解・完璧・直前チェックというボックスが設けられています。 初見で正解したものは正解にチェックを入れます。 2回目の時は、自身を持って解答できたものだけに完璧にチェックを入れます。

計算問題は効率的な解き方をせずオーソドックスに解いています。 解説も必要最低限です。

第1級ハム 国家試験問題集 2019/2020版

私は2019/2020版を使用しましたがこの記事の執筆時点で2020/2021版が出ています。 最新版を購入された方が良いです。 ただし、通常、直近の国家試験問題までは収録されていません。 直近の試験問題は日本無線協会のサイト に掲載されていますのでそちらを参照して下さい。

本書は類似の問題を多数集めた問題集です。 法規 313問 無線工学 361問 計674問あります。 従いまして、カバーしている問題の範囲は最も広い問題集だと思います。 合格精選450題試験問題集を数回解いた方ならかなりの早さでこなすことができます。 私は最後の1週間はこの本で学習しました。 より確実に点を取りたい方は使用をお勧めいたします。 また、受験に失敗して、再チャレンジされる方など、ある程度既に知識をお持ちの方に向いていると思います。

解きながら学習するスタイルに適しています。 解説はほとんどなく、計算問題も計算式が簡単に示される程度です。

巻末の付録に付いている公式集・根拠条文・Q符号はよく纏まっていて大変重宝します。  根拠条文は問題範囲をすべてカバーしているわけでありませんが、下記の「電波法令集抄録」を補助的にを使えば完璧です。

参考書 法規

ここより下の書籍は、1アマの試験には必要ありません。 日程的に余裕があって、問題集などで疑問が出たとき、問題を解くのに疲れたとき、補助的に確認したいときに利用して下さい。 大抵は、ネットで検索すると解決すると思います。 ただし、深入りは禁物です。 これより上に掲げた問題集を計画したとおりにこなすのが最優先です。

アマチュア無線 電波法令抄録

平成21年に電波法施行規則が改正され、アマチュア無線局を含むすべての無線局は、7月1日から法およびこれに基づく命令の収録(電波法令集またはその抄録)の備え付け義務がなくなりました。 また、1アマ試験ので学習する法令の条文は、ほとんど第1級ハム 国家試験問題集巻末に付いていた法令集のまとめで間に合います。 しかし、このまとめは試験範囲のすべての法令をカバーしているわけではないので、電波法令抄録があれば調べることができます。 ネットで検索した方が早い場合もありますが、検索文字列を適切なものを入れないとなかなか意図した条文が見つかりません。 このとき、この電波法令抄録があると調べることができます。 問題集を解いているとき、異なる問題どうしで内容が矛盾しているのではないかと疑問に思うことがあります。 それは100パーセント思い違いなのですが、問題文だけでは元の法令の条文がどう書かれている読んでいないと、こまかな違いが判りません。 例えば、「無線局(基幹放送局除く。)開設の根本的基準」の内容をまとめて知りたいとかがあります。

参考書 無線工学

以下に掲げた参考書は、私の本業である電磁場解析ソフトウェアの開発の資料として使用していたもので、1アマの試験を受けようとする前から保有していた書籍です。 1アマ試験の無線工学を学習するにあたり、計算問題を解く基本的な理論や、上に掲げた問題集等に言及がなく、過去問の選択肢の中でたまに出現する機器名や技術用語を調べるときに利用しました。 試験対策としてはネットで調べれば十分で書籍を購入するまでもないと思います。 例えば、個々の過去問については、無線工学の基礎(1アマの無線工学)のサイトに詳しく解説されています。 試験合格後、第1級アマチュア無線技士として、さらにスキルをアップしたい方には役に立つでしょう。 専門書に近いしもので電子・電気工学系の大学生が使うものですので、高等数学の数式てんこ盛りだったり、価格も高かったりしますので注意して下さい。 ただし、時が経ってもあまり古くなる内容のものではありませんが絶版になっているものもあるかも知れません。

電磁波工学

コロナ社の電子情報通信学会編||電子情報通信学会大学シリーズF-8
所有の書籍: ISBN4-399-00036-1 C3355 ¥2500E 昭和58年初版 平成9年初版第12刷
各章の構成

  1. 電磁波
  2. 電磁波の放射
  3. アンテナ
  4. 電磁波の伝搬
  5. 無線通信とアンテナ・伝搬

基礎方程式であるマクスウェルの方程式から出発して電磁波工学の基礎部分につき解説しています。 ベクトル解析の基礎的な数学知識が必要です。 数式てんこ盛りではありません。 比較的わかりやすいアンテナの放射図やグラフと典型的かつ実用的な数式を交えて解説されています。 1アマの試験問題の種になっている公式の根拠がわかります。 200ページもない書籍ですが、カバーしている範囲は広いです。

基礎からの交流理論

電気学会 (発売元 オーム社)
所有の書籍: ISBN4-88686-230-6 C3054 ¥3100E 2002年初版 2009年第7刷
各章の構成

  1. 直流回路
  2. 正弦波交流
  3. インピーダンス
  4. 複素数による表示法
  5. 交流回路
  6. 交流電力
  7. 相互インダクタンスと変成器

  1. 回路方程式
  2. 回路の諸定理
  3. 四端子回路網
  4. 多相交流
  5. ひずみ波交流
  6. 分布定数回路
  7. 過渡現象

理系の高校生レベルから始まって、交流理論をみっちり学習したい人用です。 数学は1アマレベルで、内容は難しくありません。 電子・電気系の大学生や専門学校生がマスターすべき内容ですが、1アマの試験レベルを超えています。 低周波交流回路での理論です。 高周波回路特有の電磁波に関しては範囲外です。 次に示す演習問題集もあります。 

基礎からの交流理論例題演習

電気学会 (発売元 オーム社)
所有の書籍: ISBN978-4-88686-281-5 C3054 ¥2900E 2002年初版 2009年第7刷
各章の構成
基礎からの交流理論 と同じ。
これまで紹介した書籍と異なり少し大きめの、週刊誌サイズ(B5判)の書籍です。 基礎からの交流理論のペアの例題集です。 多数のパターンの例題があります。 問題は基礎からの交流理論にある内容より少し難しいです。 1アマ計算問題は具体的な数値で計算できる簡単なものですので、それに相当するレベルはこの書籍のごく最初の易しい問題までです。 そのほかの微積分や三角関数の式の変形が必要な問題ははるかに?範囲を超えています。

高周波電磁気学

東京電機大学出版局
所有の書籍: ISBN4-501-10530-5 C3054 P25753 ¥2900E 1992年初版
各章の構成

  1. はじめに (ベクトル演算と波動方程式)
  2. マクスウェルの方程式
  3. 境界条件等
  4. 真空中の平面電磁波-Ⅰ
  5. 真空中の平面電磁波-Ⅱ
  6. 等方媒質中の電磁波
  7. 異方性媒質中の電磁波
  8. 伝送理論-Ⅰ
  9. 伝送理論-Ⅱ
  10. 伝送路における過渡現象
  1. 各種TEM線路
  2. 平面波の反射と透過-Ⅰ
  3. 平面波の反射と透過-Ⅱ
  4. 導波管-Ⅰ
  5. 導波管-Ⅱ
  6. 光ファイバ
  7. 共振器
  8. 電磁放射-Ⅰ
  9. 電磁放射-Ⅱ
  10. 電波の送受信

著者のまえがきによると、マクスウェルの方程式と通信の専門科目(アンテナ、電波伝搬、高周波回路、高周波測定等)の間を埋めるべく使われた教科書です。 各章きっちり10頁で構成されており、演習問題が5問付いています。 ベクトル解析の式を使用しているものの、長々と式の導出はせず、1アマの問題でおなじみ公式の由来が分かります。 たとえば電圧定在波比(VSWR)(9.1章 進行波と定在波)、今秋の試験の問題A-5、直列共振回路の周波数-リアクタンスのグラフですが並列共振回路もまとめて(17.1章 集中定数共振回路と線路共振器)出ています。 また、(20.3章 フリスの伝達公式)では、1アマ試験でよく使う、半波長アンテナの電界強度の式 $$E=\frac{7\sqrt{GP}}{d}$$ の導出もあります。

光・電波解析の基礎

コロナ社
所有の書籍: ISBN4-339-00634-3 C305 P6489E ¥6300-(税抜き) 1995年初版
各章の構成

  1. ベクトル解析概要
  2. 直交曲線座標系
  3. テンソル解析の基礎
  4. 複素関数論の概要
  5. 変数係数の常微分方程式の級数解
  6. 変数係数の常微分方程式の積分表示解
  1. 変分法
  2. 電磁波散乱
  3. 光導波路解析
  4. 違法性媒質と電磁波伝搬
  5. 有限要素法

1アマの試験からはかなり乖離してしまいましたが、電磁波解析のシミュレーションソフトウェアまでに発展させようとするとこのレベルまで必要になります。 書籍の価格もかなり高くなります。

電気工学ハンドブック

東京電機大学出版局
所有の書籍: ISBN4-88686-012-5 C3054 P25753 ¥38000E 2001年6版
各章の構成 多すぎるので省略

電気工学の百科事典です。 これさえあれば怖いものなし。 全2000ページ強、重さ3.8Kgのハンドブックといいながら方で片手で持つのは厳しいです。 かつての電話帳クラスです。 重さは、これまで紹介した、書籍の全合計に匹敵します。 落とせば怪我します。 価格も一桁違います。 電気関係の会社には一冊はあった方が良いと思いますが、ヘビーなアマチュア無線家でも全く必要ないでしょう。 私は、本業で電磁気を利用した様々な機器・施設の相談を受けるのでその分野での設計・工学的な常識?を得るため利用しています。 ぺらぺらですが丈夫な良い紙を使用しています。 技術の進歩とともに数年ごとに改訂されるのですが、高価なのと嵩が高いので早々購入できません。

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